各分科会長からの挨拶(2019.4)

接触場面と言語管理分科会 高 民定

 
近年、日本には多様な言語背景をもつ外国人居住者が増えてきており、彼らが参加する接触場面をめぐる言語問題と言語管理はますますと複雑で多様化しています。それだけ、今後、接触場面研究が注目しなければならない視点や課題も増えていることだと思われます。

「接触場面」という用語が言語管理研究だけではなく、関連する研究分野においても広く使われるようになった今であるからこそ、改めて接触場面の用語や研究の意義を振り返りながら、多様化する接触場面研究の課題と向き合うことはとても大事なことであると思います。

「接触場面と言語管理」分科会では、今後、これまでの接触場面研究の問題意識や課題を振り返りながら、またこれまでのように周辺の多様な理論や研究とも向き合いながら、さらに、研究を発展させていくための様々な研究活動や提案を展開していきたいと考えています。皆様からの接触場面研究や分科会活動についてのご意見やご提案もお待ちしていますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

言語政策と言語管理分科会 木村護郎クリストフ

日本の言語政策研究は、これまで、国家や自治体など、政府・行政レベルの取り組みの研究が中心でしたが、近年、現場の実情をふまえた、ミクロな視点を(あわせ)もつ言語政策研究の意義が強調されるようになっています。

まさに、マクロ偏重の言語政策研究への疑問から生まれたという側面をもつ言語管理の理論の出番です。

しかし、言語管理の研究において言語政策にまでつなげる研究はまだ少なく、大きな発展の余地があります。

この部会では、萌芽的に表れてきている、現場重視の言語政策研究を言語管理の発想や研究の蓄積とつなげて育てていくことを目指したいと思います。

「分科会」という名称にはなっていますが、分派活動をするつもりではなく、いろいろな観点から他の部会や関心をもつ人たちと協力して全体として言語管理研究を発展させることができればとおもいますので、どうぞご協力・協働よろしくおねがいいたします。

言語教育と言語管理分科会 横須賀柳子

昨今の「グローバル化」という語にはあいまいさが漂っています。人間の活動やコミュニケーションが地球規模で統合される趨勢を意味していたはずのその造語は、今や反意的な現象を映し出しているように思えるのです。国の権力者が躊躇なく民族、宗教、言語、文化の差異を強調するような発言を繰り返すうち、過去の「当たり前」が当たり前とはならない世界が作られるようになってきている今、個人~社会レベルでの言語管理、言語教育(学校教育に限定されないもの)の重要性がますます高まっているといえるのではないでしょうか。

知識基盤社会の発展にともない、国家、地域、公私領域の境界がゆらぐこの世界に生きる市民に求められるのは、まず自分がそれまで無自覚なままでいた「当たり前」を見直すことだと思われます。今後、日本社会は多くの外国人を受け入れ、それまで経験したことのない接触場面に戸惑う人々も増えていくことでしょう。来日する外国人、受け入れ側の市民双方が、これまで自明であった個人や社会の言語(文化)管理のあり方を批判的に問い直し、共生に向けてさまざまな問題を解決する力をはぐくむ必要に迫られそうです。

当分科会では、他の分科会や参加者の方々と協力しながら、私たち地球市民の一人一人が豊かに生きるための道を探っていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。