言語管理研究会第35回定例研究会のお知らせ

2014年度の全体テーマ:評価の多様性と言語管理

言語管理研究会第35回定例研究会を下記のとおり開催しますので、お知らせいたします。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。

題目「手話通訳者の専門用語訳出に際する評価と調整」

話題提供者:菊地 浩平氏
日本学術振興会(PD) /国立情報学研究所

要旨:本発表では、手話通訳者が発言の通訳にあたって言葉のどの部分をどのように評価して実際の訳出を調整しているのかを検討する。手話通訳者は日本語と日本手話それぞれに精通したプロフェッショナルだが、特に学術的な議論が行われる場面で用いられる専門用語の通訳は両言語の構造的な違いや文化的・社会的背景からもたらされる様々な要素によって、訳出に困難がともなう場合がある。また手話通訳者は言語形式の変換だけではなく、日本手話母語話者としてのろう者と日本語母語話者としての聴者のインタラクションを可能にするという重要な役割を果たしているが、ここでも同様の困難がともなう場合がある。本発表ではこういった諸問題を手話通訳者自身の観点から検討することで、異なる言語の母語話者同士を取り結ぶ通訳者の言語管理プロセスの一端を明らかにすることを目指す。

題目「日本に住む外国人のアイデンティティ:語られるアイデンティティと演じられるアイデンティティによる記述の可能性」

話題提供者:ミラー 成三氏
千葉大学人文社会科学研究科博士後期課程1年

要旨:近年グローバリゼーションの広がりによって、多様な背景をもった外国人が増加してきており、その言語意識や評価も多様化してきている。また、このような外国人が参加する接触場面においても、従来の枠では捉えきれない多様な言語使用や言語管理が見られる。本研究は日本に住む外国人を対象とした、アイデンティティに関する研究の予備調査を報告する。近年アイデンティティ研究においては、従来行われることの多かったナラティブやライフストーリー分析による「語られるアイデンティティ」に加え、相互行為を通して構築される「演じられるアイデンティティ」にも注目が集まりつつある(Cross2010、北出2013)。本発表においては、日本に住む外国人に対するインタビューデータと談話場面の録音データを組み合わせて分析を行うことにより、「語られるアイデンティティ」と「演じられるアイデンティティ」の関係性を記述する可能性を示す。そして、多様化する接触場面、言語管理、評価を捉える方法としてのアイデンティティ分析の有効性を提示することを試みる。

後援:神田外語大学グローバルコミュニケーション研究所
配布資料準備の都合上、参加希望の方は研究会事務局:muraoka@shd.chiba-u.ac.jp までご連絡ください。